エンジニアの住むべき街はどこなのか


ITエンジニアの仕事は首都圏、特に23区内と横浜近辺に集中しています。近年はネットの発展により地方都市での仕事も増えてきてはいますが、それでも首都圏が中心なのは変わりありません。

地方から東京へ出てきたエンジニアにとって住む場所は重要な問題です。客先を転々とする事が多いですので、働きやすい街に引っ越しましょう。




データセンターは東西線沿いに多い


IT業界というのは東京が発展してから出来た業界ですので、サーバを置いてあるデータセンターの様な大規模な建物はあまり都心部にはありません。昔から日本のネットワークの中心地である大手町を除けば、埋め立てで出来た新しい街であるお台場等の23区内の東部沿岸地区と東京から近くて比較的まだ広い土地が余っている横浜市内に集中しています。

ですので、江東区を横断している東西線沿いはエンジニアが働く街が多いですが、千葉から東京への通勤客により朝夕のラッシュは尋常ではありません。それに東西線沿いはタワーマンションラッシュで地価が高く、地方から引っ越してきた方が住むには適していません。

IT企業は様々な場所にある


データセンターでの業務が多くなる保守運用の仕事を請け負っている会社の場合、データセンターの近所に会社を構えることが多いです。古くからある大手IT企業ではそれが顕著です。その下請け企業もまた同じで、元請け企業の近所に会社を構えることが多いです。ですので、以前別記事でお話した通り(関連記事: 求人情報から読み解くIT企業情報)会社の所在地からどの企業の仕事を請け負っているのかというのが意外と簡単に推測できます。

ですが、近年設立された会社はどこかの会社の下請けだけをやるという事はありませんので、様々な場所に設立されています。多摩地区や千葉・埼玉等、東京近郊の都市にある会社さんも多いです。

狙い目は埼玉と神奈川


上記を踏まえると、東西線に接続している路線の都心とは反対方面を中心に探していけば働きやすい街と言うのは絞られてきます。特に埼玉県は地価が安く、東京と埼玉の県境部分では数十メートルの違いで埼玉というだけで家賃がガクッっと下がるぐらい埼玉というだけで家賃は安くなりますので、安さを求めるのであれば、埼玉県の東京寄りの街を中心に探してみましょう。

神奈川県も横浜駅近辺はそこまで家賃は安くないですが、電車で数駅離れるだけで家賃はガクッと下がります。横浜近辺に住むのであれば、横浜市内でも沿岸部より内陸部の街を探してみましょう。

東武伊勢崎線のお勧めは草加


東武伊勢崎線は地方の人には馴染みの無い路線かもしれませんが、大変便利な路線です。浅草から伊勢崎までを繋ぐ大変長い路線なのですが、多数の他社線に接続しているので、どこに行くのも容易です。また東武伊勢崎線から直通で地下鉄日比谷線と半蔵門線に接続しており、特に日比谷線は北千住、上野、秋葉原、茅場町、日比谷、銀座、六本木、中目黒、等々、都内の主要な駅を通ってますので、仕事以外でもかなり重宝します。

そんな便利な東武伊勢崎線ですが、埼玉県という事もあり、沿線家賃は安いです。草加せんべいで有名な草加は、埼玉県に入った最初の駅ですので、安さと便利さを兼ね備えた素晴らしい立地になっています。東西線へは茅場町乗り換えですので、茅場町よりも千葉寄りにあるデータセンターへ通勤する際はラッシュと反対方向の電車で通えます。また、本数もかなり多いので朝夕のラッシュはそこまで酷くありません。

草加は典型的な埼玉の都市という感じで、微妙な発展をしています。物件の数も多く、独身者が多いせいか中華料理屋が多いのが特徴で、夜遅くに帰ってきても温かい食事ができるのは大きなメリットでしょう。

京王線のお勧めは府中より西


多摩の大動脈である京王線も古くからIT業界の住人が沿線に多く住む路線です。新宿と八王子を繋げているのですが、笹塚から都営新宿線に繋がってますので、沿岸部へのアクセスも良好です。ただ、沿線住人が多いので朝夕のラッシュはそれなりにきついです。

京王線は明大前で井の頭線、新宿でJR・小田急・都営大江戸線・丸ノ内線、笹塚で都営新宿線と他の路線への接続も良好です。ただ、横浜方面には出にくいのが弱点です。職場が品川より横浜方面の沿岸部であるなら京王線はお勧めしません。

そんな京王線ですが、多摩センターを通っている京王相模原線はお勧めしません。本線に比べて本数は少なく、橋本経由で横浜にも出れるのですが、都心に出る時は調布で乗り換える必要があるので朝夕ラッシュ時は苦労します。京王線沿いに住むのであれば京王本線の府中より西で探しましょう。特急待ち合わせは高幡不動と府中駅ですので、家賃の関係から、その2駅に近い各駅停車駅がお薦めです。なかでも中河原が特にお薦めです。各駅停車の駅とは思えないほど発展していて、駅前に深夜までやっているスーパーや飲食店もあるので、帰りが遅くなっても安心です。多摩川も近いので休日はサイクリングを楽しむこともできます。

小田急線のお勧めは町田


IT業界で働くという観点からだと小田急沿線に住むのはお勧めしません。都心部に出にくいのです。小田急線は新宿と小田原を結んでいるのですが、東京東部の沿岸地区に出るにはアクセスが悪いです。新宿か代々木上原で乗り換える必要があるのですが、その2つの駅ぐらいしか都心への乗り換えが出来ないので、朝夕のラッシュはその2駅での乗り換えが必須になります。沿線住人の数が半端ではないので、ラッシュは酷い上に乗り換えも辛いです。

ただ小田急線にもメリットと言えるものがあります。それが「ロマンスカー」です。小田急線は箱根という観光地と都心を結ぶ電車ということで、有料特急が走っています。それがロマンスカーです。全席指定ですので、席を取れれば座って通勤できます。朝の時間帯のロマンスカーは少ないので通勤に使える電車は限られていてチケットを取る競争率は高いのですが、取れれば優雅に通勤することができます。

そんな小田急沿線ですが、横浜へのアクセスを考えると町田がお薦めです。町田は東京西部で八王子・立川と並ぶ大きな街で、とても発展していますので生活しやすいです。町田市内はバス網が発達していて、バスに乗らなければならない場所だと家賃は東京とは思えない価格だったりします。バスに乗らないまでも、町田駅から徒歩10分圏内にもアパートやマンションは多数ありますので、全体的に物件も多く、都内と比較しても安いので仕事以外の生活を考えるのであれば、町田という選択肢はありかもしれません。

相鉄線のお勧めは大和


横浜駅と小田急線の海老名駅を結んでいるのが相鉄線です。この路線のおすすめポイントは行き先が横浜しかないという所です。乗った人は横浜まで降りることがほぼ無いので、ラッシュ時の遅延は少ないです。そして横浜までの所要時間が短いのも特徴です。また大和駅は小田急江ノ島線が通っているのですが、この小田急江ノ島線沿線にもデータセンターがありますので、神奈川西部の仕事が多い人は大和に住むのがお薦めです。

正直言ってしまうと大和は町田のように発展している訳ではないので、これまで紹介した駅に比べると若干暮らしにくいかもしれません。ですが、神奈川県でも横浜市ではなく大和市ということもあって、家賃は安めで、横浜市内に住むよりも横浜駅に行くのが楽なので、横浜近辺の仕事が多い人にはお薦めです。

また、まだ通ってはいないのですが、相鉄線から他社線へ直通で乗り入れが出来るようになるらしいです。これはかなり魅力的で、もし東横線直通になるのであれば、東武伊勢崎線並みに便利な路線になると思います。

京急線のお勧めは弘明寺


京急線は品川の横にある泉岳寺駅から横須賀や三浦方面を結んでいる電車で、神奈川県東部の大動脈です。京浜東北線と(離れてはいますが)並行して走っているのと、物凄いスピードを出すので、神奈川東部の人はJRを使わずに運賃が安くて速い京急線を利用する人もかなり多いです。

また、泉岳寺から都営浅草線に直通で入るので、意外と東京東部へのアクセスもよく、京急線沿線にもデータセンターが多いのですが、JRと比べると小さい駅が多く、住む場所を選ばないと不便という事で神奈川県の京急沿線は意外と人気が無いので家賃が若干安いです。

そんな中でお勧めなのが弘明寺駅です。各駅停車の駅ですが横浜からもかなり近く、少し離れていますが横浜市営地下鉄の弘明寺駅もあるので、横浜市内の仕事をするのであればいい場所だと思います。駅自体は各駅ということもあってそれほど発展していないのですが、弘明寺という大きなお寺があるお陰で商店街は発展しているので住むのに不便は無いと言えます。

ただ、弘明寺駅から住宅地方面に行くと山になっていて、坂がとても多いです。あまり駅から遠いところに住むと駅まで行くだけで疲れますので注意が必要です。

せっかくなのでお勧めしない路線も


東急線は全般的にお勧めしません。東急という企業は自社沿線地区に投資して発展させることで企業価値を上げているのですが、そのお蔭で東急沿線はどの路線も家賃が高いです。もちろん駅前は発展していておしゃれですし、お店も充実していて便利ではあるのですが、IT業界で働くという観点で考えると微妙です。また東横線はそこまで酷くもないのですが、田園都市線のラッシュはかなり酷いです。つり革に捕まる必要が無いぐらいと言えば判りやすいでしょうか・・・。最近は随分と楽になったと聞きますが、それでも酷いのでラッシュの電車に慣れてない人にはお勧めできないです。

田園都市線や東横線から東京東部方面へ出るには、半蔵門線や日比谷線に直通しているので、一見便利そうなのですが、どちらも23区を横断する必要があるので、JRと違い小刻みに停車する地下鉄では時間がかかりすぎます。

ただ、東急東横線沿線にもデータセンターは存在しますので、そちらに通勤するのであれば一概に悪いとは言いません。ですが、東横線沿いのデータセンターに行くのであれば横浜市営地下鉄やJR横浜線沿線の方が安い物件が多いので、無理に東急線沿線に住むよりはそちらで探したほうが良いと思います。

また、JR沿線もお勧めしません。どこに行くにも便利だし、駅前も発展している所が多いので生活しやすいのですが、便利な分だけ家賃が高いです。特に中央線沿線は便利なのですが、家賃は高いしラッシュは酷いしで、通勤だけで体力をかなり消耗する事になります。JR沿線は便利さと比例してラッシュ度合いも上がっていくので、よほど良い物件がない限りは敬遠した方が良いと思います。

なかでもJRの総武線沿線の千葉方面は絶対にやめた方がいいです。東京東部に近いですし、街も発展していて住みやすいし家賃も高くないのですが、電車が止まります。東京東部には大きな川が何本か通っていて、海が近いので埋め立てして出来た土地が多く、あまり沿線に高い建物が無いのですが、おかげでかなり開けていて、風の影響をモロに受けます。その為、千葉から沿岸部を走ってくるJR線は風で止まることがしばしばあって、それを避けるため、東西線の利用者が増えて東西線が物凄いラッシュになっているぐらいです。

西武線沿線は家賃も安く、意外と住みやすい街が多いのですが、IT業界で働くという観点ではお勧めできません。致命的に横浜方面へ出にくいのと、東京東部にも出にくいからです。新宿と高田馬場と池袋には出やすいので山手線を利用する一般のサラリーマンにはお勧めできますが、データセンターは都心部にはほとんどありませんので、あまり意味はありません。