健全なIT企業の簡単な選別方法


IT企業に就職や転職する際に皆さんはどんな基準で企業を選んでますか?新卒にしても中途にしても企業を選ぶのは大変だと思います。会社の評判を調べてみたり、取引先を調べてみたり、平均年収を調べてみたり、はたまた会社の沿革から社長の経歴までいろいろ調べてたりしませんか?

でも、簡単に健全な企業かどうかを見分ける方法があったりします。あくまでも目安ですので一番最初にふるいに掛ける際に最も有効な方法です。

IT企業はあまり経費がかからない

IT企業の仕事にはあまり経費がかかりません。あくまでも他の業種と比較しての話ですが、これはとても重要です。製造業などは会社にある程度の設備が必要です。例えば車の製造をする会社であれば、工場に機械等の設備が必要になりますよね。ところがIT企業の場合、単純な話で一人一台パソコンがあればいいのです。ですので、他業種と比較して、事業を遂行するのに必要な経費は比較的少ないです。

これはIT業界の給料が比較的高い事にも関係しています。普通にやっていればとても利益率が良い仕事なんですね。パソコン1台あればあとは技術力で業務を遂行して利益を上げれます。ですので、有能な人であればとても低い経費でとても高い収益を上げれるのです。だから給料が比較的高くなります。フリーランスの人なんかは良い例ですよね。パソコン使って仕事して稼いでますし。

それでも他にも経費は掛かります。まず会社の家賃ですね。それと間接部門の人員の給料です。事務の人たちの給料は技術職の人たちが稼いだお金から支払いますのでこれも経費です。

これをふまえての健全な企業を判別する方法になります。

一人あたりの売上を算出する

求人情報を見ていると、必ず企業情報が載っていますよね。そこに売上高が載っていると思います。そして会社の従業員数も載っているはずです。その売上高を従業員数で割ると従業員一人あたりの売上高が算出できます。

例えば10億の売上がある従業員100人の会社(A社)の場合

100000(万円)÷100(人)=1000(万円)

といった具合です。これが従業員一人あたりの売上高になります。この金額の多寡で大体企業の健全さを見分けることが出来ます。ただ、あくまでも目安だという事だけは忘れないでください。

あくまでも私個人の見解で言うと、第一の判断基準として、この従業員一人あたり売上高が1000万円が健全な企業の最低ラインだと思っています。これより下の企業は基本的に避けます。ただ、これは景気によっても左右されますので、同時期の優良な企業も算出して目安にするといいでしょう。

注意点は3つ

  • 従業員数が少ないと極端な数字になる

例えば、出来たばかりの会社で少数精鋭で3人のスーパーエンジニアが年間3億ぐらいの売上をあげてたりすると、一人あたりの売上は1億になります。こういった具合に従業員数が少なすぎると間接部門自体が無かったりしますし、成長途上の企業だと会社という組織として成り立ってない場合もあるので一概に売上高で判断できません。目安は大体30人以上の企業だと思ってください。


  • あくまでも首都圏の話

首都圏とそれ以外の地域では露骨に稼げる金額が変わってきます。ですので、あくまでもこれは首都圏のIT企業の健全さを見抜くための目安です。


  • ブラックかブラックではないかは見抜けない

ブラック企業判別はその他の要因が大きいので売上だけでは判断できません。あくまでも企業の健全具合だけです。

企業の健全さとは何か?

単純な話、間接部門が多いか少ないかです。あとは家賃ですね。会社として設備投資はあまり必要ないので、それ以外の経費がどれぐらい掛かっているのかで会社の健全さが判断できます。ここに無駄が多い企業は基本的に避けるべきです。

A社の例で見ると、極端な話、100人の従業員のうち、エンジニアが50人で間接部門が50人で売上が10億だと、50人のエンジニアが一人あたり2000万円の売上をあげている事になります。つまり一人あたり2000万円稼げる土壌がある企業という事です。月換算で一人あたり170万円弱の売上ですね。非常に優秀なエンジニア達だと思います。

ところが、そんな優秀なエンジニア達が働いていても間接部門の人数が多すぎるんですよね。だから企業が健全か否かで考えるとギリギリのラインになります。

もし、間接部門の人数が30人だとしたらどうなるでしょうか?従業員総数80人で10億の売上になりますので、従業員一人あたりの売上が1250万になります。こうなってくると結構健全なラインに乗ってきます。

要はせっかく低コストで稼げるITの仕事で間接部門でコストが増えている企業は健全とは言えないということです。

健全じゃないとどうなるのか?

不況になった時に大変な事になります。というのも、日本の企業の場合人員のカットを簡単に出来ません。つまり間接部門の人員が多ければ多いほど売上が減った際に危険度が一気に増します。

他の業種の場合、コストカットが出来ます。不況になった時はどの企業も設備投資や経費を減らしてコストカットして無駄を省きますよね。製造業であれば仕入れ先を見直して仕入れを安くしたり色々とコストカットの施策を打てますが、IT企業の場合、エンジニアの能力をお金にしている訳で仕入れも無いですし、元々のコストが少ないのでカットする部分が殆どないのです。ですので間接部門が最大のコストになるのですが、この部分をカットして節約できないので一気に会社が危険な状態に陥ります。

つまり、エンジニアがいくら頑張って稼いだとしても、悪く言えばその上前を間接部門がハネている訳です。こういう企業は給料の上昇は見込めませんし、不況時に一気に倒れます。

健全じゃない企業のパターン

健全さがギリギリラインである上記のA社の例で考えます。
・売上10億
・従業員数100人
・一人あたり売上1000万円

間接部門が10人だった場合
・エンジニア90人
・エンジニア一人あたりの売上1111万円
・売上の7割=約777万円

間接部門が30人だった場合
・エンジニア70人
・エンジニア一人あたりの売上1428万円
・売上の7割=約1000万円

間接部門が50人だった場合
・エンジニア50人
・エンジニア一人あたりの売上2000万円
・売上の7割=1400万円

上記の様に、従業員一人あたりの売上が1000万円でもエンジニア一人あたりの売上に直すとかなり違いが出ます。実際は全エンジニアが一律で同じ売上を出す事はあり得ないので平均値になる訳ですが、基本的にエンジニアに支払われる給料は、そのエンジニアの売上より多くなることはありません。会社によっても違いますが、優良な企業でも大体は売上の6〜7割が最大だと思います。普通は5割以下です。

こうやってエンジニア一人あたりの売上から考えられる給料の最大値が算出出来るわけですが、算出した際に気づくのが、間接部門の人数が多い企業の方がエンジニアの給料の最大値が高くなるということです。なぜか?多くの間接部門の人を養うためにはそれだけ売上を上げれるエンジニアじゃないと話にならないのです。普通の企業で2000万円を売り上げれるエンジニアはかなり優秀です。そういうエンジニアじゃないと会社を成り立たせることは出来ないのです。

これをふまえて第二の判断基準が求人情報に出ている給料の最大金額です。よくモデル給料とか出してますよね。変な話ですが、あの金額の最大値が大きい企業ほど危険です。従業員一人あたりの売上が低いにも関わらず、実績として高い給料を支払っている企業は間接部門の人数が多い可能性が大きいです。モデル給料の最大値が高い企業であれば、本来従業員一人あたりの売上も高くなるはずです。それなのに従業員一人あたりの売上が低いということは何かしらの問題を抱えていると考えていいと思います。

あくまでも予測ですので一概には言えませんが、モデル給料が安い方が企業としては健全と言えます。それだけ会社の儲けが増える訳ですしね。もちろん限度はありますけど。

まとめ

従業員一人あたりの売上額が低い
求人情報に出ているモデル給料の最大値が高い

この2点に注視して企業をふるいにかけて健全な企業を割り出しましょう。

求人情報に間接部門の人数が出ていればこんな予測をする必要はないのですが、そんな求人情報は見たことないので、憶測で判断するしか無いです。ただ、個人的な経験だとこの判別方法であながち間違ってないと思います。

要はバランスが悪い企業はどこかしらに無理があると言うことです。例え給料が少し安かったとしても簡単に潰れる企業よりはよっぽどマシですので、どうせ正社員になるのであれば、少しでも安全な企業を選びたいですね。