求人情報から読み解くIT企業情報



転職の際には求人情報を見ると思いますが、給料や待遇だけしか見ていなかったりしませんか?入社してから後悔しないためにも会社選びは慎重に行う必要があります。求人情報からIT企業の業務内容を読み解くコツを教えましょう。





まずは仕事内容をじっくり見て、自分のスキルとマッチしているかを確認


いちばん重要なのは自分自身のスキルと、求人情報の会社が求めているスキルとがマッチしているかです。応募する職種にもよりますが、自分が扱える言語・環境等と見比べてみてください。

なんとなく「大丈夫だろう」とか「なんとかなるだろう」なんて心構えで応募するとまず落とされますし、もし入社出来たとしても求めるスキルを持っていない事が判れば試用期間中に辞めさせられる事になるでしょう。エンジニアを常に見ているIT企業の採用担当の目は節穴ではありません。

と言うのも、スキルがマッチしない人材を送り込んでくる派遣会社が多いので目が肥えたというか、騙されることが多い事から自衛手段として自然と厳しくなったというのが本当の所でしょうか。書類選考時からじっくりスキルシートに目を通し、面接時には内容を暗記しているぐらい中身を吟味しています。

企業側が明確に募集しているスキルを挙げているのであれば、マッチしない場合は応募しない方が無難です。但し、未経験者も募集している場合はその限りではありません。未経験ながらもその技術に関心がある事をアピールすることでOKになる場合もあります。

とにかくスキルがマッチしていない企業はどんなに待遇が良くても応募しないほうが良いでしょう。

勤務地から仕事内容を読み解く


次に重要なのは「勤務地」です。自社内での業務なのか、他社で行う業務なのか、の違いです。自社内での勤務であればそのままです。募集の仕事内容に書かれた仕事を社内で行うことになります。問題は社外の場合です。

よく

「○○のプロジェクト先での勤務となります。」
「※勤務地はご希望を考慮した上で決定します。転居を伴う転勤はありません。」

と勤務地の欄に書かれていますが、これは入社後は社外での業務になるという事です。明確な地名が書かれているのであれば恐らく請負先の勤務なのでまだいいのですが、「23区内」とか「県内」みたいな書かれ方をしている場合、まず十中八九は特定派遣の仕事だと思ってください。

特定派遣が悪いという訳ではありませんが、明確な勤務地が出せないと言うことは、派遣先企業が決まっていないという事です。つまり、あなたの応募した際のスキルシートを見て派遣先企業を探す、と思っていいと思います。

つまりあなたのスキルを求めているのはその会社でなく、特定派遣先の会社だということです。そういう会社に入社した場合、その案件が終了して自社に戻ってきても、また他の会社に特定派遣で出されるでしょう。客先に出ている都合上、他の社員と顔を合わせるのはせいぜい月に1回程度ですので、社員間の繋がりも希薄です。ですので、会社に対する愛社精神の様な物を持って働きたい場合は特定派遣の企業は向きません。

ただ、これが悪いと言っている訳ではありません。私も特定派遣の会社で働いていた経験がありますが、いろいろな現場を転々とできるのでコネも広がりますし、社内で業務するよりも多様な経験を積むことが出来ます。

愛社精神みたいな物は無いので、会社に遠慮せず給与交渉もガンガンできますし、たまに会社に帰っても顔見知りの社員もあまりいないので社員間の馴れ合いも無く、誰とあってもビジネスライクに接することで面倒臭さもありませんでした。そして、案件の切れ目ですんなりと辞める事ができます。

そして、特定派遣の会社の場合、応募者のスキルシートで派遣先を決めると言いましたが、逆に言うとそのスキルシートにマッチする案件が存在すれば即採用されるということです。よほどその人の人間性やコミュニケーションスキルに問題があったりすれば別ですが、良くも悪くも特定派遣の会社は社員を商品として扱っているだけなので、多少の問題がある程度であれば採用して社外に派遣してしまいます。

特定派遣のシステムについてはいろいろと問題を内包しています。数年後には特定派遣は廃止になりますが、また偽装請負の時代に戻ると言われています。ですので特定派遣専業でやっている企業の場合は今後どうなるかは判らないので、応募する際は注意が必要です。

会社のWebサイトを見る


スキルマッチしていて、勤務先を見て、ある程度その会社がどういう会社なのかが想像できてきたら、会社のWebサイトを見ましょう。そしてどんな業務をやっているのかを確認してください。

自社内業務であれば、何を開発しているのかを確認しましょう。社外の請負先での業務であれば、Webサイトの会社概要に書かれている取引先企業と求人情報の勤務地から請負先企業と業務内容を類推してみてください。特定派遣の場合は、取引先企業を見てどんな派遣先が多いのかで、その会社のコネがどの程度あるのかを判断してください。

会社のWebサイトでは会社概要等の会社に関する情報から多くのことが読み取れます。特に取引先企業や資本金と従業員数のバランス、意外な所だと社長の来歴からもその会社の成り立ちが見えてきたりします。

給料を見る


ここまで見てきて悪くない会社だなー、と思えたなら、ここで初めて給料を見てください。そして現在の給料額や相場(常に求人情報を見て相場感を身に着けておく必要があります)と比較して妥当かどうかを判断してください。もし安いと感じたのであれば、面接時に交渉してみましょう。一度入社してから給料の交渉をするのはハードルが高いですが、入社前であれば簡単です。折り合わなければ入社しなければ良いだけですから。

求人情報の給料が安いからと言って妥協して安い給料で入社するのだけはやめましょう。技術を安売りしてはいけません。エンジニアなのですから、他の人が簡単にできない仕事が出来るという自覚とプライドを持って交渉しましょう。

求人情報を見る時の心構え


求人情報と言うのは、会社が求職者に条件を提示していると同時に、求職者が会社を値踏みする物でもあります。面接もそうです。会社が雇う人を選ぶだけではありません。人が働く会社を選ぶ場でもあるということを常に意識してください。

その会社に入社するまでは対等の立場です。「雇ってください」という卑屈な考え方で応募すると足元を見られますし、それがビジネスの世界では当たり前です。安く値踏みされないように自分の良い部分を高く売り込み、自分のいたらない部分に関しては大っぴらに言う必要はありません。嘘をつくのはいけませんが、自ら言わないのは大丈夫です。それは見抜けない相手が悪いということです。

逆に言うと、危ない会社かそうでないかは求職者であるあなたが自力で見抜く必要があるということです。危ない会社のWebサイトを見ても「うちは危ない会社です」とは書いてありません。いろいろな要素を見て危なそうな会社を見極められる目を養ってください。

最後に一つだけ言っておきますが、絶対に「嘘」は駄目です。ビジネスの上で嘘はルール違反です。面接で「○○ができますか?」と聞かれても嘘をついて「できます!」と言ってはいけません。スキルシートも一緒です。経験をしたことのない技術を経験したように書いてはいけません。もし聞かれたら、出来ないことは「できません」とキッパリ言いましょう。例えそれがマイナスであっても、他の部分でプラスにすればいいのです。自分のできる事を目一杯アピール出来るようにしましょう。