文系の人は本当にIT業界に向いていないのか?



IT業界への就職・転職になると、よく「文系だから向いてない」なんて言葉を聞きますが、私はそうは思いません。理由を挙げていきたいと思います。




IT業界にもいろんな職種がある


確かに理系の人はIT業界に向いています。コンピュータは論理の機械だからです。理屈の塊の機械を扱うのですから、理系の人の「論理的思考能力」があるととても馴染みやすいです。だからと言って文系の人が向いていないかと言うと、それは違うんじゃないかと思います。

一口にIT業界と言っても様々な職種があります(関連記事:IT業界の職種にはどんなものがあるのか?)が、プログラミングの様にコンピュータの動きそのものを考える必要がある職種では論理的思考はとても重要です。ですが、そのコンピュータを扱うのは「あくまでも人間」だということを忘れてはいけないと思います。コンピュータが処理した結果を使うのは人間ですので、人間の観点からコンピュータを観れる人というのは絶対に必要です。そういう部分では文系の人の方が、より利用者に近い立ち位置でシステムを観ることができるのではないでしょうか。

IT業界の仕事の本質は「翻訳」だと思います


例えば要件定義・基本設計・詳細設計の様な設計書類ですが、人間の要望をコンピュータでどのように実現するのかを「翻訳」していってると思います。詳細設計から実際にコンピュータにそれを実装してプログラムを動かすのですが、そのプログラムも人間の理解できるプログラミング言語をコンピュータの理解出来る形にコンパイルされて動いています。

つまり人間の要望を徐々にコンピュータ寄りの言語に翻訳していってるんですね。大雑把に言ってしまえば「感情」の表現から「論理」の表現へ移行させている訳です。その過程の中と考えると、文系の人に向いている仕事ってあると思いませんか?そうです。よりシステム利用者(お客様)に近い仕事であれば理系の人よりも文系の人の方が確実に向いています。お客様との意思疎通が容易だからです。

具体的には営業、PM、オペレータ等の直接お客様と接する機会が多い職種は文系の人の方が向いていると思います。特に故障対応をする保守の仕事は理系の人よりも文系の人が向いていると思います。お客様との間に立って臨機応変の対応を取るというのは理系の人には向いていません。想定外の事が起きた時に理系の人は固まってしまう方が多く見受けられますが、そんな時でも文系の人は臨機応変に動いてくれるので結果的に素早い解決が出来ることもよくあります。

では、文系ではプログラマにはなれないのか?


理系の人はプログラマに「向いています」。これは確実です。だからと言って文系の人が向いていない訳ではありません。実際に文系のプログラマはいっぱいいます。仕事にムラがなく確実にこなしてくれるので、優秀な人も多いです。

以前、文系のプログラマの人と話したことがありますが、プログラミング自体は慣れてしまえば問題ないそうです。それよりも周囲の理系プログラマの人とのコミュニケーションの方が大変と言ってました。ですのでプログラマとして仕事をする分には文系の人でも問題ないでしょう。

理系の人とのコミュニケーション方法


先述の文系プログラマの人の言うとおり、理系の人とのコミュニケーションは慣れていないと大変です。ですが「理屈っぽいなぁ・・・」「面倒くさいなぁ・・・」とコミュニケーションを諦めるのではなく、理系の人の考え方を理解するように努力してみてください。

  • 質問をする時は順序立てて質問をする
    よくあるのが「○○が判りません。教えてください」みたいな質問の仕方です。これは絶対に駄目です。「○○が△△なので□□を試してみましたが☓☓でした。▲▲にしたいのですが、どうすればいいか判りますか?」みたいにそれまでに何をやったら駄目だったのかを説明してください。その疑問に至るまでの過程がとても大事です。

  • 話を急がない
    理系の人は「結果」よりも「過程」を大事にするフシがあります。ですので、何か会話をする時も結論ではなくその結論に至る過程を延々と話したりしがちです。ですが、面倒くさいからとそこで話を遮らずその過程を聞いた上で結論を聞いてください。そして結論だけではなく、その過程についてよく覚えておいてください。きっと今まで気づかなかった事に気付かされると思います。

とにかく理系の人は話が長くなりがちですが、その長い話の中に理系の人の考えている真意が隠されています。そこをどう汲み取れるのかが文系の人の力量だと思います。

※ 余談ですが、ビジネスの話をする時に長々と過程を話されても困る人が多いので、理系の人はそれを意識して結論だけを言う場合も多いです。理系の人なりの処世術ですね。完結に説明できるようだともっと良いのですが・・・。

理系の人とコミュニケーションを円滑に取れる様になれば、将来PLやPMになった時にお客様とエンジニアの間に立って、円滑にプロジェクトを進める事ができる人間になれます。文系と理系の垣根を取っ払う事のできる人間を目指しましょう。