IT業界で転職を考える前にやっておくべき3つのこと

終身雇用が破綻した現代では転職をするのが当たり前の世界になっていると思います。ですので、今現在転職を考えていなくても、常に転職をするという選択肢を持てる様に準備をしておくのが当たり前になりつつあります。特にIT業界は移り変わりが激しいので、転職の機会を敏感に察知しておかないと損をします。

まだ転職を考えていない方が、いざ転職する時に慌てないために準備しておくべき事を3つ紹介します。

IT業界の市場動向を把握する

ITの世界は日進月歩で進化し続けています。それに合わせてIT業界も常に変化しています。数年前は当たり前だった事が今は時代遅れになるということです。

例えば、Webの世界で言うとjQueryは数年前はどのサイトでも使われていましたが現在ではほぼ使われていません。むしろGoogleがMFIを発表してからはAMP化が進んでいてJavaScriptを使わないサイトが増えてきています。

プログラムの世界では数年前まで猫も杓子もJavaでモノリシックなWebアプリが主流でしたが、現在はマイクロサービス化が進み同時に多言語化が進んでいます。OracleがJavaの有償化を発表したので、今後は更にJava離れが進むでしょう。

サーバの世界で言うと数年前まではオンプレミスのサーバを設置しているのが当たり前だったのが、VPS化が進んで、今やそれを通り越してクラウドが主流です。

要するに、当たり前だった物が数年後には当たり前じゃ無くなるのが「当たり前」な時代になっているのです。そういう業界で働く以上、常に技術トレンドに敏感になっておく必要があります。

そして転職の求人動向にも見事にトレンドが反映されます。数年前はあれほどあったRuby関連の求人もRoRの流行が終わった今はかなり減ってきています。今後は有償化が発表されたJavaの需要も徐々に減ってくるでしょう。

ここで重要なのは前時代の技術はすぐに廃れないということです。企業で動いているシステムは償却されるまではまずリプレースされません。という事は前時代の技術で作られたシステムもまだ動き続けるということです。

古いシステムが動いている以上、その技術の需要はあります。ですので新しいシステムにリプレースされるまでは現在の技術でやっていけるでしょう。しかし数年後に気づいたらもうあなたの技術を求める企業はいなくなっているかもしれないのです。

ですので、常に新しい技術の動向に注視し、同時に求人情報に目を通す様にしてください求人情報には現在の市場でどの様な技術に需要があるのかが如実に出てきます。いざ転職しようという時に転職先が無いのじゃ話になりません。例え今転職する気がなくても常に見ておきましょう。

自分の市場価値を把握する

転職する上で最も重視すべき事なのに最も軽視されている事が「自分の技術の市場価値」を把握することです。前述した市場動向にも関連してきますが、その時代の技術トレンドが変わることで、技術に対する市場価値も常に変化しています。自分の技術が市場でどれ位の価値があって、その中から自分にどれだけの給料が支払われているのかを常に把握するようにしましょう。

ここで重要なのは「市場価値」という所です。「給料」ではありません。あなたの所属する企業があなたに対して支払う給料は技術力に対してだけ支払われている訳ではありません。役職についていれば役職に対する手当、その他勤怠や人望、その他諸々の要素を総合的に判断して支払われるのが給料です。ですので「給料が高い=技術力が高い」という事ではありません。給料は「会社のあなた自身に対しての評価」の対価です。

では「市場価値」は何かと言うと「IT業界で技術者に対して支払う対価」です。若干違いますがみなさんが想像しやすい様に言いますと「人月単価≒市場価値」だと思ってください。これを知っているか知らないかで転職時の会社選びも全く違ってきます。先程も述べた通り、技術動向が変わると市場価値も変化しますので、これを把握していないと転職の際大損する事になります。

でも人月単価を知ってる人はあまり居ないのではないでしょうか。普通の社員には会社は教えてくれないはずです。なぜなら給料との格差が凄いからです。安い給料で働いている人間ほど、人月単価を知ると憤る事になります。でもよく考えてみてください。非生産部門の社員のお陰で会社という組織は成り立っています。その非生産部門の社員をあなた達技術者の稼ぎで賄っているのです。ですので憤るのは間違いです。

ですが限度があります。いくら非生産部門の為とはいえ、給料を安くして会社側が多く取るのは間違っていると思います。

そこで自分の給料と市場価値にどれだけの乖離があるのかで、健全な会社運営をしているかどうかが判ります。今現在あなたが働いている会社もそうですし、転職を考えている会社が健全かどうかを判断する重要なファクターになります。それが「市場価値」です。

この「市場価値」を自分で調べるにはどうしたら良いのでしょうか。おそらく会社の上長に人月単価を聞いても教えてくれないと思います。ですので自分で調べましょう。

世の中には転職者向けの転職情報サイトがあるように、フリーランス向けの案件情報サイトがあります。そちらに登録することで企業がどの様な案件で技術者に対してどれぐらいの単価を支払っているのかが判ります。フリーランスは個人事業主です。企業対企業の間でどの様な技術者にどれだけの価値があるのかというのが「技術者に対する市場価値」ですので、フリーランス向けの案件情報から市場価値を知ることができます。

フリーランス向けの案件情報を知るためにはまずフリーランス向けの案件情報サイトに登録してください一般の転職者向けの情報ではないのでほとんどが未公開です。登録することにより正確な市場価値を知ることができます

そして複数のサイトで登録してください転職情報サイトもそうですが、サイト毎に扱っている案件情報に違いがあります幅広い情報を得る為には複数のフリーランス向け案件情報サイトに登録する必要がありますそしてあなたの持つ技術で検索をして市場価値を知ってくださいそれが転職を考える第一歩目です。




市場価値を知ることが出来たらご自分の給料の額面(残業代抜)と比較してみてください。高くて市場価値の7割五分ぐらい、安くて4割ぐらいでしょうか。大体それぐらいの幅があります。市場価値が高ければ高いほど普通は給料の割合が減るはずです。あなたの技術力がフリーランスだとどの程度の価値で、会社員だとどれぐらい減るのかを知るところから始めましょう。


そしてもし現在貰っている給料の額に納得がいかないのであれば転職を考えてみるべきです。転職をしてもっと給料の高い会社に行くのもいいですし、フリーランスになる選択肢もあります。私もフリーランスで働いていますが、最初の頃はサラリーマン時代と同じ仕事をして貰える収入額がこれほど違うのかと愕然としました。会社員という肩書が要らないのであればフリーランスになることをお勧めします



転職をするしないに関わらず、技術で稼ぐ仕事をやっている以上は自分自身の市場価値は常に気にしておいたほうが良いでしょう。そしてそれだけの金額を稼いでいるというプロ意識を常に持ちましょう。


自分自身の市場価値を高める


市場価値を知った所でそれが給料に直結するわけではありません。もちろん高ければ高いに越したことはありませんが、市場価値は変動しますのでこれを先読みして自分自身の市場価値を上げていくのは難しいものがあります。では自分自身の市場価値を上げるにはどうすれば良いのでしょうか?簡単です。違う技術を身につければ良いのです。

PHPだけしか出来ないプログラマよりPHPもJavaScriptも書ける技術者のほうが市場価値は高いです。更にサーバの構築ができたりDBの設計が出来ればどんどん市場価値は上がっていきます。

ですが違う技術ならどんなものでも良いわけではありません。PHPのエンジニアがJavaを身につけても市場価値は上がりません。なぜなら同じ案件内で両方の技術を発揮できないからです。ですので、自分のメインとなる技術の周辺技術を身につけるようにしましょう。PHPのエンジニアであればJavaScriptやMySQLやapacheやnginxを勉強するべきです。

ただ、PHPのエンジニアがJavaを勉強する必要がないかと言うと、一概にそうは言えません。PHPもJavaも出来るのであれば、参加できる案件は単純に倍違います。メインとなる言語は多ければ多いほど会社としては有用なエンジニアになります。受注できる仕事の幅が広がるからです。ですので市場価値は上がりませんが給料は上がるはずです。

まずは自分自身の軸となる言語を習得したらその言語の周辺技術を学ぶことをお勧めします。そして周辺技術をそれなりにマスターしたら軸となる言語を増やしてみましょう。周辺技術はどの言語でもだいたい共通なので、軸となる言語が増えれば会社にとっての有用度はどんどん跳ね上がります。給料も上がるはずです。もし上がらなければあなたの有能さを認めてくれる企業へ迷わず転職しましょう。