業界歴20年超のエンジニアが「キャリアアップ」と「キャリアプラン」について少し掘り下げて書いてみます。
目次
キャリアアップとキャリアプラン
「キャリアプラン」を実現するために積み重ねて行く経験を「キャリア」と言います。要するに実績です。そして自分の望むべく姿に近づくための経験や実績を重ねることを「キャリアアップ」と言うのです。
「転職してキャリアアップ」なんて事を言う人が多いですが、一概に転職することでキャリアアップする訳ではありません。「一生この会社でサラリーマンをして定年を迎えたい」というのも立派な「キャリアプラン」だからです。この場合の「キャリアアップ」はその会社での昇進になると思います。
その会社で定年までサラリーマンとして働きたいのであれば、まずは会社の存続が第一課題です。自身が会社を存続させる為にある程度の裁量を持てる立場まで昇進するのが「キャリアアップ」、そして存続した会社で定年まで勤め上げる事が「キャリアプラン」です。
このように「キャリアアップ」というのは「キャリアプラン」がある事が前提となります。自分自身がどの様な仕事をしたいのか明確な目標を立てているからこそ「キャリアアップ」と言うのです。
漠然と
「給料を上げたい」
「○○みたいな仕事をしてみたい」
「○○みたいな技術を身につけたい」
というのはキャリアアップとは言いません。ただの欲望です。
「将来独立して会社を設立する為にもっと給料を稼ぎたい」
「フルスタックエンジニアになりたいので、次はインフラエンジニアになりたい」
「フリーランスでやっていきたいので、スマホアプリの開発を経験したい」
こういう明確な「キャリアプラン」を持って転職すればこそ「キャリアアップ」となるのです。
サラリーマンにとってのキャリアプラン
ですが、普通のサラリーマンであればともかく、ITエンジニアとしてそのキャリアプランは少々勿体無いと思います。なぜなら会社である程度の裁量を持てる立場まで昇進した時点でエンジニアとしての人生は終わってしまうからです。通常、マネジメントとエンジニアリングは両立できません。どちらもそんなに楽な仕事ではないからです。
たまに「プレイングマネージャー」と呼ばれる人がいます。中小企業等で人員が足りない組織でよく見られるのですが、実務をやりながら管理業務をこなす人の事を「プレイングマネージャー」と言います。
はっきり言いますが、この「プレイングマネージャー」は単なる人手不足の穴埋めで、名前ほど格好良い役割ではありません。マネージメントはそんな簡単な仕事ではありません。エンジニアをやりながらマネジメントもこなすのは容易ではありません。通常は分かれている役割は一人でこなせないから役割が分かれているのです。
そういった「プレイングマネージャー」がいるプロジェクトは失敗する確率が跳ね上がります。どちらの仕事も中途半端になるからです。マネージャーがちゃんと役割をこなせないプロジェクトがどうなるか、現役エンジニアの方なら判っていただけるんじゃないでしょうか。
ですので、普通の組織であれば、通常、会社での昇進を選んだ人は「エンジニアとしての人生」はある程度昇進した時点で終わりを迎えます。マネージャー専任になるからです。エンジニアとしてせっかく身につけた技術を終わらせてしまうのは勿体無いとは思いませんか?
ITエンジニアとして仕事を始めたのであれば、一生エンジニアとして生きていける「キャリアプラン」を持った方が良いと思います。エンジニアとして技術力を伸ばしていく事が安定にも繋がりますし収入も技術力と比例して鰻登りです。エンジニアとして行ける所まで行ってみませんか?
キャリアプランを考える時期
30代・40代になってエンジニアをやっていると、技術的に壁に当たりますよね。仕事でやる事はある程度定型化されていて毎回やっている事はほぼ同じ。違うのは自分以外の人間のミスでデスマになるかならないかぐらい、なんて感じる日々を過ごしていませんか?
仕事に行き詰まりを感じたら「キャリアプラン」を立てる時期になったと思って間違いないです。
ここであなたが取るべき行動の選択肢は4つです。
「会社に残る」
「他業界へ転職する」
「同業他社へ転職する」
「フリーランスになる」
この4つです。
どれがお勧めとかはありません。
あなた自身が10年後20年後にどうなっているのを望むのかで大きく違います。
あなた自身が決めなくてはならないことです。
「会社に残る」「他業界へ転職する」という選択肢は、あなたのエンジニア人生が終わることを意味します。会社に残ればマネージャーになる道を歩むことになりますし、他業界であればITエンジニアとしてはその時点で終了になります。逆に「同業他社へ転職する」「フリーランスになる」という選択肢はITエンジニアとして生き続ける選択をしたと言うことです。
お勧めのキャリアプラン
フリーランスになることを念頭に置いて転職するのであれば、違う技術を身につけて下さい。プログラマやSEであれば「インフラエンジニア」を目指すべきですし、インフラエンジニアであれば「プログラマ」を目指すべきです。他にもWeb系も経験しておいて損は無いです。
いきなりフリーランスになって独学するという手もありますが、あまりお勧めしません。フリーランスで仕事をしながら勉強するのは結構大変です。仕事をしないと生活が行き詰まります。生活を維持する必要があるので、全く畑の違う技術を勉強しつつ働くのは辛いです。まだ給料が貰えるサラリーマン時代に一通りの技術を齧っておくことをお勧めします。
一度経験してしまえば独学できるはずですので、とにかく経験するために転職するのがお薦めです。転職して「あー、なんとなく判ったわ」と感じたらスッパリその仕事は辞めてしまっていいです。職歴が汚れるとかありません。なるのはフリーランスですから。ただ、実務的な部分よりも設計部分だけは、その会社でよく勉強しておいて下さい。どの職種でも設計部分にはコツというかキモというか、そういうのがありますので、そこだけは掴んでから辞めた方が良いです。実務部分は後で独学できますが、設計部分は簡単に独学できません。何を重視してどの様に設計するのかは既に実績がある会社で学んだほうが習得が早いです。
一通り経験して、だいたいどの仕事でもやっていけるだけの知識がついたらフリーランスになる準備を始めて下さい。一口にフリーランスと言っても様々な労働形態がありますし、自身の相場を知っておくためにもフリーランス向けの案件サイトに在職中から登録しておく事をお勧めします。
ここで一つだけ注意しておくべきなのは「相場感」です。どの技術がどれぐらいの単価なのかを把握しておかないと大損します。一朝一夕で身につく感覚ではありませんので、出来る限り早めに案件サイトに登録して、サラリーマン時代から常に相場感を掴むようにしておいた方がいいです。
それと在職中からある程度お金を貯めておいて下さい。フリーランスに支払われる報酬は給料ではありませんので、毎月支払われる訳ではありません。納品して翌々月に支払いとかが多いので、その間生活できないと詰みます。少なくとも半年〜1年ぐらいは収入が無くても生活できる余裕を持ってフリーランスになった方が良いでしょう。
まとめ
ITエンジニアとしてある程度の年齢になったら「キャリアプラン」を立てるのは必須です。ただ漠然とサラリーマン生活を過ごしているのは無駄です。仕事が行き詰まってきたら絶対に「キャリアプラン」を立てるようにして下さい。後悔しないエンジニア人生を歩まれる事を祈ってます。