ITエンジニアが海外でフリーランスとして生きる道を模索する - 個人事業で就労ビザが取れる国について




「ITエンジニアが海外でフリーランスとして生きる道を模索する」シリーズ記事、第3回です。

第1回はフリーランスが海外で働くにあたっての懸念点を大雑把に挙げました。


第1回 :ITエンジニアが海外でフリーランスとして生きる道を模索する - 日本にいなければならない理由

上記記事で挙げた以下の懸念点があります。

  • 顧客対応(契約関連)
  • ビザ
  • ネット環境
  • 日本語
  • 治安
  • 食事
  • 住居費

第2回はフリーランスの仕事方法に関する今後の展望と海外移住に向けた仕事方法の提案をしました。

第2回:ITエンジニアが海外でフリーランスとして生きる道を模索する - 働き方を考える


今回は肝心の移住先について考えてみようと思います。



個人事業主で就労ビザを取得できる国は多くない

いきなり出鼻を挫く事を言いますが、実は個人事業主で就労ビザを取得できる国は多くありません。リタイアメントビザや投資家ビザ等、就労しないで長期間滞在できるビザは世界各国にあるので、単純に海外移住という観点だと様々な国が候補として上がりますが、その国に納税をする前提の就労ビザが個人事業主でも取得できるというのは本当に少ないです。

通常、就労ビザというのはその国で労働する人の為に発行しています。その働くための就労ビザにしても、高度な技術力がある等、有能な人材でなければ発行されなかったりもするぐらいです。基本的にどこの国でも就労ビザの発行は厳しいです。ましてや何をするのかもはっきりしない個人事業主に対して簡単に就労ビザを発行する訳がありません。

この就労ビザを取りにくいという事だけはよく認識しておいてください。フリーランスとしてノートパソコン片手にどこでも仕事をする事ができたとしても、正式に居住者としてフリーランスにビザを発行している国はとても稀なのです。

個人事業主で就労できるビザを発給している国

それでも個人事業主に対して就労ビザを発給している国はあります。ですがこういう国は何かしらの事情があって発給している場合が多いです。途上国であったり、失業率が高かったり等々・・・。そこから比較的安心・安全だと思われる国を選んでここでは紹介します。

※今現在もネットを中心に調査中なのでこれ以外の国もあるかもしれませんし、前例があまり無いことから情報が少なすぎて間違っている可能性もあります。ちなみにフリーランス向けでない起業ビザ(法人設立)に関しては除外してありますが、法人設立も含めてならそれなりに増えます。

アルメニア→却下(※追記参照)

日本国籍ならビザ無しで180日間滞在可能(就労も可能
所得税率:20〜36%
日本と比較した物価:安い
現地人の平均月収:$377(2019/9)
公用語:アルメニア語
英語:そこそこ通じるらしい(旧ソ連の国なのでロシア語は通じるらしい)
居住費:安いらしい
治安:そこそこ良いらしい(でも領土紛争中の地域有り)
食事:うまいらしい

ポイント:
  • IT起業が盛んらしい。
  • ロシア圏のシリコンバレーと言われるぐらいIT化が進んでいるらしい
  • 起業しやすい国ランキング5位。
  • ビザが切れる前に出国→入国すれば滞在日数はリセットされる(ビザラン可能) 一年のうち180日間の滞在許可なのでビザランは不可(ジョージアからのビザラン先としてはよく活用されているらしい)
  • 税金的に隣国のジョージアと比較して一見するとメリットは無いが、ITで起業すると格段に安くなる特例があるらしい
  • 隣国のジョージアとはバスで行き来できる。バックパッカーのビザランに利用されることが多いらしい
  • 親日国家で美人が多いらしい。
  • 地震が多いらしい。
  • 温泉が出るらしい。

※追記アルメニア外務省のサイトで各国のパスポートによってビザの要否が判るようになっている。日本の通常のパスポートの場合は以下の様になり、ビザは要らない事が判る。


Google翻訳するとこうなる


そして、その下に説明が書かれている。


Google翻訳するとこうなる。


日本は一番上の「ビザ取得の要件から一方的に国民が免除されている国のリスト」に含まれており、180日間のビザ免除となっている。

問題はその下に書かれている文言で

「ビザ無しの政権が設定されている外国の市民は、アルメニア共和国の国際協定によって他の期間が定義されていない場合、1年間に180日以内アルメニア共和国の領土に留まる事ができます
(原文:Citizens of foreign countries for whom a visa-free regime is set can stay on the territory of the Republic of Armenia for no more than 180 days during one year if no other term is defined by the international agreements of the Republic of Armenia.)」

となっており、あくまでも滞在許可で一言も労働許可について触れていない。

こちらのサイトでは以下のように書かれている。


この記述からフリーランスでビザが必要ないと思っていたけども、どうもそうではないと思う。なので、海外でフリーランスとして活動する要件は満たしていないので却下にする。(2020/1/10)


ジョージア

日本国籍ならビザ無しで360日間滞在可能(就労も可能)/フリーランス向けビザも有り(D2)
所得税率:一律20%
日本と比較した物価:安い
現地人の平均月収:$417(2019/9)
公用語:ジョージア語(字がかわいい)
英語:そこそこ通じるらしい(旧ソ連の国なのでロシア語は通じるらしい)
居住費:安いらしい
治安:そこそこ良いらしい(でも領土紛争中の地域有り)
食事:うまいらしい。ワイン発祥の地らしい

ポイント:
  • IT特区とか作ってるらしい。
  • 起業しやすい国ランキング6位。
  • ビザが切れる前に出国→入国すれば滞在日数はリセットされる(ビザラン可能)
  • 税制がとてもシンプルで判りやすい。
  • 銀行の預金利率が定期預金で10%超えるらしい(現地通貨ラリ立て)。7年で預金額が2倍になるのは夢がある。
  • トランプ大統領が大統領選に出る前にホテルを建設していたが、大統領選にかける金銭的問題でジョージア進出は取りやめたらしい。
  • 最近はマンションの建設ラッシュらしい
  • 変な建物が多い
  • 風光明媚な景色が素敵
  • バックパッカーの沈没地として有名になりつつある
  • ロシア人に人気の観光地らしい。でもロシアとは領土問題で揉めたり過去に国交断絶したりしてるらしい(現在は国交回復している)。
  • ソ連時代の外務大臣で有名なシュワルナゼさんが過去に大統領だった
  • EU加入を目指しているらしい
  • ウクライナと共に旧ソ連の国ながら反ロシアの立場らしい

オランダ

個人事業主向けビザ有り
所得税率:9〜51.75%(強制加入の社会保険料込み:36.65%〜51.75%)
日本と比較した物価:日本並みかそれ以上
現地人の平均月収:$2960(2018)
公用語:オランダ語
英語:通じる
居住費:高い
治安:そこそこ良いらしい
食事:そこそこうまいらしい

ポイント:
  • 5年間住み続ければ永住権取得可能。同時にEU永住権も取得可能。
  • 1912年に締結した日蘭通商航海条約で日本は最恵国待遇だったのがつい最近まで続いていて、その流れでビザ関連も優遇されているらしい。
  • 強制加入の社会保険料がある為に高額な税金に見えるが医療費以外にも年金等も支給される。社会保障は日本よりも進んでいると思う。
  • 移住してくる人が多くて住居が足りないため、住居費は高騰しているらしい(東京都内以上)。でも需要過多なので、賃貸ではなく購入してしまえば高値で売却できるらしく、長期滞在者は購入するのがお得らしい。
  • 物価は日本並み以上らしいが、農産物が安いので食費に関しては自炊すればそこまででもないらしい。外食は日本より高い。
  • 自転車の国。道路では車より自転車優先で自転車用の道路も整備されている等、自転車のインフラが充実している。自転車競技も盛ん。でも自転車買うとは高いらしい。中古売買が主流らしい。

カンボジア

ビジネスビザ+就労許可証
税率:0〜20%
日本と比較した物価:安い
現地人の平均年収:$1376(2017) ※年収です
公用語:クメール語
英語:割と通じるらしい
居住費:安いらしい
治安:あまり良くないらしい
食事:衛生面に不安

ポイント:
  • 空港でビザ買えるらしい。ビジネスビザを買って入国後に就労許可証を取得する必要がある。
  • 税制が複雑でかなり謎?
  • 現地通貨よりもドルが信用されているらしく銀行はドル建てらしい。
  • 中国の一帯一路構想に入っているらしく、南部では中国資本でマンションの建設ラッシュになっているらしいが、完成前に放置されてたりするらしい。中国に乗っ取られるんじゃないか、ぐらいの勢いで中国化されていっているらしい。



以下は残念ながら候補外

ドイツ→却下

フリーランス向けビザ有り(但しドイツに取引先が必要
所得税率:15~42%
日本と比較した物価:大体日本と同等
治安:そこそこ良いらしい
ポイント:大道芸人でもビザ取れるらしいのになぜ取引先が必要なのかは謎(大道芸人はアーティストビザらしい)。


まとめ:ネットから得た情報だけで判断するとジョージアかオランダが狙い目

安定して高収入が見込めるのであれば永住前提でオランダに住むのは良いと思います。社会保険が強制加入なので支払う額は大きいですが、最低加入年数の無い年金がついてますすし、医療費も社会保険料で賄ってるっぽいので高額な医療費の請求もないみたいです。税金と社会保障をトータルで考えた場合、日本よりは相対的に安く、フリーランスであっても老後も安心です。

とりあえず海外に行ってフリーランスで働くけども永住するつもりは今の所無いのであればジョージア/アルメニアは良いと思います。この2カ国間を年に1度行き来するだけで滞在日数リセットでずっと居住することは可能ですし、税率も日本よりは安いです。これから伸びる国だと思うので、安い生活費で働きながらそのまま投資することで、数年後には大きなリターンが望めそうです。

カンボジアは日本から近くて税率もそこそこ低いですし、悪くはないのですが、社会インフラに不安が多いです。いまだに停電が起きるらしいです。真夏に数日間停電でエアコンが使えなくて地獄、なんてこともあるらしく、ITエンジニアがフリーランスで働くには社会インフラに不安要素が多すぎます。

アジア・オセアニア圏では他の国もありそうなもんですが、フリーランス向けではなく起業ビザが多いです。そちらも含めるとマレーシアでラブアン法人が一番お得ですが、初期コストが高いのと、タックスヘイブンに対する締め付けで審査が厳しくなってきているところで香港の政変で移住者が殺到しているらしく、今から動くにはタイミングが最悪だと思います。

他にはフィリピンの永住権を取得するという手もありますが、こちらも除外しています。税率は最大32%ですし、そこそこ居住環境も安定していますし物価も安いのですが、治安の部分で不安が多すぎます。アジア圏では珍しく銃社会でもありますし、日本人が移住するには適していないと個人的には考えています。

身近な知り合いが新婚旅行でフィリピンに行った時にタクシーに乗ったらそのまま見知らぬ山まで連れて行かれ、タクシーの運転手とグルで待ち構えていたグループに銃を突きつけられるも、手持ちの5000円を払ったら開放されて「俺の命は5000円かよ・・・」と泣きながら新婦と山から歩いて帰ってきたらしい。新婚初夜は深夜のハイキングだった。なんて笑えない話をしていたのを聞いてしまい、その時のイメージが強く残っているので偏見に満ちているとは自覚していますが、やはりフィリピンは怖い国というイメージが強いです。

次回以降は今回挙げた4つの国(アルメニア、ジョージア、オランダ、カンボジア)についてもうちょっと掘り下げて調べてみます。