ITエンジニアが海外でフリーランスとして生きる道を模索する - ジョージア その1


「ITエンジニアが海外でフリーランスとして生きる道を模索する」シリーズ記事、第4回です。

第1回 :ITエンジニアが海外でフリーランスとして生きる道を模索する - 日本にいなければならない理由
第2回:ITエンジニアが海外でフリーランスとして生きる道を模索する - 働き方を考える
第3回:ITエンジニアが海外でフリーランスとして生きる道を模索する - 個人事業で就労ビザが取れる国について


今回からは移住先として有望な国について、もう少し詳しく調べていきます。

本当はアルメニアからやる予定だったんですが、アルメニアについて調べているうちにフリーランス向け要件と合致していなかったのでアルメニアは却下してジョージアについて調べます。

ビザや税金関連は噂レベルの情報ではまずいですし、できる限り公的な情報をソースにして調べています。各項目で情報のソース元へのリンクを張っていますので、詳しい情報が知りたい方はリンク先を参照してみてください。


ジョージアの基本情報

以下、外務省が出しているジョージアの基礎データから抜粋です。

国名:ジョージア
首都:トビリシ
人口:390万人
通貨:GEL - ラリ(1ラリ=37.83円:2020/1/9現在)

現地人の平均月収:$417(2019/9)
経済(実質GDP)成長率:4.7%(2018年:IMF推計値)
物価上昇率:2.6%(2018年:IMF推計値)
失業率:12.7%(2018年:ジョージア国家統計局)

在留邦人数:45人(2017年10月現在)


詳しくは外務省のデータを見てもらった方が良いと思うので、上記はあくまでも重要な部分のみだけです。

かなり複雑な状況にある国だと思いますので、ある程度は概略を知っておいたほうが良いと思います。以下動画がざっくりとジョージアの成り立ちを説明しています。自動翻訳でもかなり判りやすいですので目を通しておくことをおすすめします。






以下、ざっくりとしたジョージアの説明です。あくまでも個人的見解です。

ジョージアの場所


GoogleMapより抜粋

南コーカサス3国の一番西側に位置していて黒海沿いにあります。東ヨーロッパと西アジアの境目に位置しています。紀元前から黒海-カスピ海の交易路が通っていたらしく、文化的に歴史のある土地です。かなり古くからのキリスト教国でもあります。現在もカスピ海沿岸の石油を黒海からヨーロッパに向けて送るパイプラインが通っており、ヨーロッパとアジアの境界としてかなり重要な国になっています。

ジョージア国内でも2地域が独立状態になっている上に、北にロシアとロシアからの独立運動が起きているチェチェン、南にトルコとアルメニア、東にアルメニアと紛争中のアゼルバイジャン、、西に黒海と、ジョージアも含めて紛争だらけの地域でもあります。トルコの南にはシリアとイラク、アゼルバイジャンの南にはイランがあり、なにかと周囲は騒がしい状態ですが、現状は膠着状態です。

詳しくはWikipedia - ジョージア(国)を参照。

地域紛争について

ソ連崩壊によってジョージアはソ連から1991年に独立したのですが、同時期にジョージア国内にあるオセット人の地域が南オセチアとして、アブハズ人の地域がアブハジアとしてジョージアからの独立を宣言。ロシア連邦等から独立承認を受け、事実上の独立状態になっています。両地域共にロシアの支援を受けている状態です。

2008年に南オセチア州の独立を巡ってロシアとジョージア間で南オセチア紛争が勃発。それ以降はロシアと断交して、国名のGeorgiaのロシア語読みである「グルジア」から英語読みの「ジョージア」に読み方を変更するよう各国に求めるほどロシアとの関係は冷え込んでいます。

詳しくはWikipedia - ジョージアとロシアの関係を参照。

国際的な立ち位置

いろいろな状況をみると

  • ジョージアはウクライナ・バルト3国と共に旧ソ連ながら反ロシアの立場で、EUとNATOへの加盟を望んでいる。
  • アメリカは地政学的に重要な土地としてジョージアに影響を持っておきたい。
  • EUも反ロシアの流れ。
  • ロシアはジョージアのNATO加盟を阻止したい。

という、各国の思惑が交錯して膠着状態にある中、着々と近代化が進んでいる国という認識です。ですが国内はいたって平和で、ロシアと対立しているはずなのに、ロシアからの観光客が押し寄せているという矛盾した状態でもあるので、一応均衡は保たれているらしいです。


ジョージアの気候

北と南に山脈が有り、西に黒海がある内陸の国なので、狭い国土ながら様々な気候が混ざってます。ジョージアの首都のトビリシと、第二の都市クタイシ、第三の都市バトゥミの気温を抜粋します。

トビリシ

以下、Weather Spark - トビリシにおける平均的な気候から抜粋。


トビリシは緯度は日本で言うと青森や函館ぐらいにあたる。四季もあり日本と気候が似ているみたいです。


クタイシ

以下、Weather Spark - クタイシにおける平均的な気候から抜粋。

クタイシはトビリシとバトゥミの中間辺りにある内陸の都市です。暑さも寒さもトビリシよりは緩いようです。


バトゥミ

以下、Weather Spark - バトゥミにおける平均的な気候から抜粋。

バトゥミは黒海沿いにあるリゾート都市です。クタイシよりさらに寒暖の差が緩くなっています。



ビザ

※かなり重くて閉口します・・・。


「TRAVELLING TO GEORGIA」のボタンをクリックすると外国人向けのビザに関する詳しい情報が出てきます。


以下はGoogle翻訳したものです。

以下、説明部分の拡大です。

上記に書かれている通り

ジョージア州のビザポリシーは比較的寛大になり、98か国(表1)の市民が 入国、居住、就労、勉強することができます。

とあり(GeorgiaをGoogleで自動翻訳するとアメリカのジョージア州と勘違いする為、上記訳では「ジョージア州」となってしまいます)、表1の中に日本も含まれていますので、ビザ無しで就労が許可されています。

ちなみに、このページの上部にある赤い「DO I NEED VISA?」ボタンからどの国のパスポートだとビザが必要か診断ができるのですが、日本の通常パスポートだと以下の通りビザ不要と判定してくれます。



したがって、ジョージアにはビザ無しで1年間入国できて、しかも就労が可能な訳ですが、これは上記にある通り、ジョージアにとって特別な国にだけ許されているもので、それ以外の国の人の為にもちゃんとフリーランス用のビザが用意されています。

またジョージアの永住権を取るためには、移民ビザ(長期ビザ)を取って5年滞在する必要があるので、可能であれば最初からフリーランス用のビザを取ったほうが良いと思います。

長期ビザには5種類あって、フリーランス用のビザはこのうち移民用のD2ビザを取る必要が有ります。もしくはD1(起業・就労ビザ)で取って会社を設立する方法もあります。

ジョージアで会社を設立するとかなり税制的にも優遇されていますし、従業員を雇うにしても現地人の平均月収から判るようにかなりコストを抑えることができます。起業しやすい国ランキングで6位になっていることからも判るように、会社設立時の手続きもかなり簡単になっていますし、なにより税制がかなりシンプルかつ税率も低いですし、特にIT系に関しては優遇策も充実していますので、フリーランスでは無く起業してしまうのもいいと思います。

また金銭的に余裕があるのであれば、ジョージア国内で不動産を購入してD5ビザを取る事でも長期滞在できます。永住を考えているのであれば、最初に不動産を購入してしまう方が話が早いかもしれません。


公式サイト上で調べられるのは多分ここまでです(というか重いので諦めました)。詳しくは在日ジョージア大使館まで問い合わせてみてください。


永住権を取るメリット

個人的には、ノービザで滞在するんだったら長期ビザを取って永住権取得を目指したほうが良いと思ってます。理由はいくつかあって

  • こんな緩いビザの制度を持っている国は他にないので移民が大量に来る可能性がある
  • 移民が殺到した某国の様に、移民向けのビザを締め付ける可能性が将来的にありそう
  • 5年待てば永住権を取れるが、もし永住権を取った後にジョージアがEUに加盟した場合、シェンゲン協定によりEU域内に自由に移住できるようになる(と思う)

結局、移民が増えて規制が強くなるのが怖いということです。その前に永住権を取ってしまえば関係ないですし、ビザの新規取得が厳しくなったとしても更新であれば厳しくない可能性もあります。持っていて損する物ではないので、どうせなら狙ったほうが良いと思います。

税金

ジョージアの税制は非常にシンプルです。6種類しか税金の種類がありません。

以下はジョージア経済と持続可能な開発省(Ministry of Economy and Sustainable Development of Georgia)の運営するINVEST IN GEORGIAからの抜粋です。



  • 法人税 - 15%
  • 個人所得税 - 20%
  • 付加価値税 - 18%
  • 関税 - 0%, 5%, 12%
  • 物品税 - 変動制
  • 固定資産税 - 1%

上記の6種類だけです。

フリーランスとして納税するのは個人所得税になりますので、20%の固定税率になります。

皆さんご存知だと思いますが、日本の所属税率は累進課税になっていて、課税所得に対して税率が変わります。以下は国税庁のサイトからの抜粋です。


日本には住民税がありますがジョージアにはありませんし、控除額や経費等もあるので一概には比較はできませんが、単純に数字だけで見るとおそらく年収約700万円以上の方であれば、ジョージアに納税したほうがお得ということになりそうです。累進課税の場合、所得が低ければ税率も低くなりますが、一律で20%ということになると低所得のフリーランスの人にはきつそうな気もします・・・。


・・・と、思うじゃないですか。


日本のITフリーランスがジョージアに移住する最大のメリット

ここからがこの記事での最大の見所です。仕事の合間の休憩を兼ねて調べながらこの記事を書いているのですが、この事実を知った時は「え、うそでしょ?」と仕事を忘れて政府のサイト等を調べまくりました。かなり長くなりますが、海外移住を考えているフリーランスの方は是非読んでください。

税金や法律に関しては素人の私が調べた限りなので、確実にそうだとは言えませんが日本でフリーランスのプログラマをやってるエンジニアはジョージアに行って同じ仕事を続ければ所得税を払う必要は無い可能性が高いです。多分、これガチです。

順に説明していきます。
まず、なぜジョージアに納税するのか、という話からです。
日本国籍を持っていても、必ず日本に納税する必要は無いという話からします。

国際税法上「居住者」と「非居住者」という括りがあります。日本人としてざっくり言うと、日本に住んでいるかいないか、という話です。日本に住んで、日本で仕事をして、日本で所得を得ている人は日本国の「居住者」で日本に納税しなければなりません。

では、日本人が、日本以外の国に住んで、日本以外の国で仕事をして、日本以外の国から所得を得ている場合はどうなるのかと言うと、これは日本国の「非居住者」になり、住んでいる国の「居住者」になります。その居住している国に納税する必要があります。

つまりジョージアに住んでジョージアで働いている場合は日本国の「非居住者」でジョージア国の「居住者」になります。この場合、居住している国であるジョージアに納税することになります。ここら辺は普通に考えればわかりますよね。

ここで例外があります。ジョージアに住んで、ジョージアで仕事をして、日本から所得を得ている場合(つまりジョージアに住んで日本の仕事をやるフリーランスの人です)はどうなるのか?という事です。こういうケースだと居住している国(ジョージア)と所得を得た国(日本)で二重に課税されてしまうケースが出てきます。ですので、各国の間で租税条約を結んで、二国間でどういうケースだとどちらの国で税金を収めるのかというのを定めています。後述しますが、日本とジョージアの間でも租税条約は結ばれています。

日本の税法上だと日本国の「非居住者」でも日本国で所得を得た場合、基本的にその所得に対しては日本で課税されことになっています。問題は、その日本で得た所得がどういうものか、ということです。

以下は日本の国税庁のサイトからの抜粋です。


上記の通り、「国内源泉所得」については「非居住者」でも日本に納税しろと書かれています。この「国内源泉所得」については3つのポイントがあります。

  • どの種類の「国内源泉所得」か
  • 国内に「恒久的施設」を有するかどうか
  • 「国内源泉所得」が「恒久的施設に帰せられる所得」かどうか

この3点によって「国内源泉所得」かどうかが決まります。

以下、国税庁のサイトからの抜粋です。国内源泉所得についての定義です。


この中で、現在フリーランスの人が仕事で得ている収入で可能性があるとしたら

(1) 恒久的施設帰属所得、国内にある資産の運用又は保有により生ずる所得、国内にある資産の譲渡により生ずる所得

これだけでしょう(ちなみに1と15以外の項目は源泉徴収の対象になるので、報酬を支払う側が天引きする必要があります)。つまり日本国内に「恒久的施設」を持っていなければ、この項目にも該当しないので、日本の税法上、「非居住者」の国内源泉所得としては扱われないことになります。

ここで話を戻しますが、ジョージアに住んで、フリーランスとして日本の仕事を受けて日本から報酬を受けた場合は、恒久的施設を日本に持っていなければ日本では課税されないので、ジョージアに納税することになります。

そして、ここからが凄いです。なんとジョージアは国外源泉の所得については納税を免除しています。これは国際税法上の抜け道でも何でも無く、ジョージアが免除すると公言しています。

以下、在日ジョージア大使館で公開されているジョージアのビジネス環境と可能性についてのpdfです。外国人に向けたジョージアのビジネス環境をアピールするパンフレットみたいなものですね。



このパンフレットにも税制のシンプルさのアピールと共に、堂々と以下の様に書いてアピールされています。

Foreign-source income of individuals fully exempt

日本語訳だと

個人の外国源泉所得は完全に免除されます

になります。

税制をシンプルにして効率化を進めた結果、こういうことになっているみたいです。税金紛争の防止と、シンプルになった税制によってもたらされる効率化のほうがメリットが高いという考えによって導き出されたのでしょう。

ごちゃごちゃしてきたので、税金についてまとめます。

  • ジョージアの居住者である
  • 日本国内から所得を得ている
  • 日本国内に恒久的施設を持っていない

この3点を満たしていれば、おそらく個人所得税は免除されます。

ただ、最後にもう一度ことわっておくと、あくまでも税制も法律も素人の人間の個人的見解ですので確実な話ではありません。あくまでも公式な情報を自分で読んで自己責任でお願いします。

「居住者」と「非居住者」


最後に重要な補足です。
どうすればジョージアの「居住者」として認められるかです。

以下、ジョージアの税に関する法律(TAX CODE OF GEORGIA)です。
第34条で「居住者」に関する定義がされています。


例によってGoogle翻訳は以下になります。

2.現在の税年度全体のグルジア人居住者は、その税年度で終わる連続する12暦月の期間に183日以上ジョージア州の領土に実際に滞在した自然人、またはその税年度中にジョージア州の公共サービスの外国にいました。

上記の通り、基本的にジョージア側としては「税年度中、183日以上ジョージアに滞在している人」が「居住者」として扱われます。要は1年の半分以上はジョージアに滞在している人、という事です。

ですが、日本の場合、この183日以上というルールで「居住者」と「非居住者」を分けていませんので注意が必要です。

以下、国税庁のサイトからの抜粋です。


一般的に日本の居住者と非居住者の区分は以下のようになっています。

  1. 恒久的住居の場所
  2. 利害関係の中心がある場所
  3. 常用の住居の場所
  4. 国籍

上記が一般的と思われていますが、実は租税条約によって判定方法が決められています。上記は書かれている通り一例です。ここまで調べたのだから、確定的な情報を知りたい。なので調べました。

ジョージアと日本の租税条約に関してはこれもちょっと特殊になっています。実はジョージアがまだ旧ソ連に含まれていた時に、旧ソ連と日本で結ばれた租税条約がそのまま有効になっています。

以下、財務省が公開している「我が国の租税条約ネットワーク」からの抜粋です。


注1に書かれている通り

税務行政執行共助条約が多数国間条約であること、及び、旧ソ連・旧チェコスロバキアとの条約が複数国へ承継されていることから、条約等の数と国・地域数が一致しない

ということで、ジョージアとの租税条約は旧ソ連と日本との条約が承継されています。
なので、現在も旧ソ連時代の租税条約によって「居住者」と「非居住者」が決まっていることになります。

ではこの旧ソ連との租税条約はどのようなものかと言うと、ジョージア側ではいまだに有効なのでサイト上で公開されています。

以下、ジョージア財務省のサイトより抜粋


下の方までジョージアと租税条約が結ばれている国の国旗が並んでいますが、当然日本もあります。そちらをクリックすることで、日本と旧ソ連とで交わされた租税条約が見れます。

以下、日本とソ連で交わされた租税条約(ジョージアで公開されている英文)からの抜粋です。



タイトルに書かれている通りソビエトの名前がありますが、この条約を承継してジョージアと日本との間で租税条約が結ばれています。ですが英語でしかも条文なので、自動翻訳だと難解過ぎて解らないです・・・(ちなみにArticle1の2と3が「居住者」と「非居住者」の定義です)。

2国間で交わされた物なので、当然日本側にも租税条約の文書があるはずなのですが、実はロシアとの間で新たに租税条約が結び直されている事から(多分)すでに旧ソ連との租税条約の条文は財務省のサイトには見当たりませんでした。なので、日本語での条文が公開されているサイトを探してやっと見つけました。

以下、民間サイト(一般社団法人 ロシアNIS貿易会)にて公開されている旧ソ連と日本との租税条約(日本語)からの抜粋です。

第一条
1 この条約は、一方又は双方の締約国の居住者である者に適用する。
2 この条約の適用上、「一方の締約国の居住者」とは、住所、居住、本店又は主たる事務所の所在地、事業の管理の場所その他これらに類する基準により当該一方の締約国において課税を受けるべきものとされる者をいう。
3 2の規定により双方の締約国の居住者に該当する者については、両締約国の権限のある当局は、合意により、この条約の適用上その者が居住者であるとみなされる締約国を決定する。

第一条の2と3で「居住者」と「非居住者」が定義されています。
更に、条文の一番下の議定書部分でも定義されています。


議定書
 
所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の条約(以下「条約」という。)の署名に当たり、下名は、条約の不可分の一部を成す次の規定を協定した。
1 条約第一条3に関し、双方の締約国の居住者に該当する個人については、次の原則を考慮に入れて、問題を合意により解決する。
(a) 当該個人は、その使用する恒久的住居が存在する締約国の居住者とみなす。その使用する恒久的住居が双方の締約国に存在する場合には、当該個人は、その人的及び経済的関係のより密接な(中核となる重要な利害関係を有する)締約国の居住者とみなす。
(b) 中核となる重要な利害関係を有する締約国の決定ができない場合又はその使用する恒久的住居がいずれの締約国にも存在しない場合には、当該個人は、その常用の住居が存在する締約国の居住者とみなす。
(c) 常用の住居が双方の締約国に存在する場合又はいずれの締約国にも存在しない場合には、当該個人は、自己が国民である締約国の居住者とみなす。

要するに「居住者」は

  • 住所
  • 居住
  • 本店又は主たる事務所の所在地
  • 事業の管理の場所
  • その他これらに類する基準

上記の条件によって決まり、双方の国で上記の条件で居住者に該当する場合は

  • 恒久的住居が存在する
  • 双方の国に恒久的住居が存在する場合は経済的関係のより密接な国
  • 中核となる重要な利害関係を有する国が決定できない場合、又は使用する恒久的住居が双方の国に無い場合は常用の住居が存在する国
  • 常用の住居が双方の国に存在する場合又はいずれの国にも存在しない場合には自己が国民である国

になります。日本の居住者の一般的な区分とあまり変わらない様にも見えますが、大きな違いは、一般的な区分の優先順位と違って、恒久的住居よりも住所のほうが優先順位が高いみたいです。

ざっくりとまとめると、

  • ジョージアに税年度1年間のうち183日以上滞在する
  • ジョージアに住所を持つ

この2点を守っていればジョージアの居住者と言えるんだと思います。そうなると日本では住民票を抜いた上で住居を持たないで、ジョージアでちゃんとした賃貸契約をして住所を持つのが確実っぽいですね。バックパッカーみたいな生活だと住所が確定していないので、居住者としての定義的に弱そうな気がします。もしかしたら長期ビザの有無とかも重要なのかもしれないです。

まぁあくまでも税制にも法律にも素人な人間の独自見解なんで、自己責任でって事で、ここら辺で締めます。


電力事情

ITの分野で欠かせないのが電力ですが、日本は世界的に見て電気代が高い国なのは震災後の成り行きを見て皆さんご存知の通り。ただ日本の電力網の安定性も皆さんのご存知の通りです。滅多なことでは停電も起きないので、安心して仕事に打ち込める環境でしょう。それでも日本で仕事するにあたって、電気代の高さは特に気になるところだと思います。

ジョージアはコーカサス山脈の南側に位置し、高低差が大きいことから水力発電がメインの電力になっています。実に現在の総電力の80%が水力発電によって生み出されていて、トルコに電力を輸出していたりもします。現在の発電量は12TWhですが2025年には17.9TWh以上になることが見込まれており、将来的にどんどん強化されているインフラ部分でも有ります。

またアゼルバイジャン産の原油パイプラインがジョージアを経由してトルコへ通っておりそこから石油を、ロシアからアルメニアへの天然ガスパイプラインも通っているため、中継料として10%の天然ガスを入手しているため、エネルギーに関しては非常に恵まれている環境らしいです。

そのため、電気代も大変安価になっています。
以下、電力料金を定めているGNERC(ジョージア国家エネルギーおよび水供給規制委員会)のサイトから抜粋です。


 英語はともかくジョージア語だと全く何が書いてあるか判りませんが、このページは英語だと出てこないのでジョージア語で見る必要があります。Google翻訳でジョージア語から翻訳します。


ジョージアでは電力供給している会社が2社あるようTelasiとENERGO-PROという会社のようです。ENERGO-PROは外資っぽいですね。この2社の電力料金をこのサイトで確認できます。

以下、Telasiの電力料金です。


Telasiの電力料金の日本語訳です。


上側の表が一般家庭向けの電力料金になりますね。1KWhあたり14.544になります。
1ラリ=約38円になりますので、あれ、高くないか?と思いましたが、調べたところ、こちらの単位はラリではなく、「Tetri(テトリ)」という補助通貨単位で、1ラリ=100テトリで換算するそうです。アメリカで言うドルとセントの様なものですね。

表の下部にある計算機でも計算ができます。


1KWhあたり0.12ゲル(GEL=ジョージア ラリ)でVAT(付加価値税18%)を加算して0.15ゲル(ラリ)、ということらしいです。

ですので、14.544テトリは0.14544ラリになります。日本円換算(38*0.14544)で5.5円ぐらいになります。

ちなみに日本の電気料金はと言うと・・・、
以下、東京電力のサイトからの抜粋です。従量電灯Bになります。


1KWhあたり19円88銭ですので、ジョージアと比較して4倍弱といったところですね。

つまり、ジョージアの電気料金は単純に言って、日本の3分の1以下ということになります。この電気料金の安さによって、最近はビットコインのマイナーがジョージアに進出してきてるらしいです。なんでもジョージアの電力消費量の10%はマイナーが利用しているとか・・・。物凄いですね。


もうフリーランスエンジニアにとって天国とも言えるような国と言っちゃっていいと思いますが、それでも途上国によくある停電は起きるらしいです。

ジョージア在住の「たかっか@55ドライブ」さんのブログ記事によりますと、


細かい地区ごとに数時間~半日の供給停止が起きることがほとんどです(予告はあったりなかったり)。
トビリシ全体で見たら、毎日どこかしらで電気・水道・ガスが止まっていると言っても過言ではありませんが、自分のいる場所に影響が出るのはせいぜい半日。
そして、大通りを1~2本挟んだ地区に行けば問題なし、ということがほとんどです。

とのことですので、割と頻繁に停電するようです。感覚的には震災時の輪番停電みたいな感じなんですかね?確実に事前予告があればいいんでしょうが、無いのは辛そうです。ノートPCを常用するか、UPSの導入は必須のようです。データセンターとかどうなってるんでしょうか。

まとめ

調べていたら、フリーランスにとってガチでジョージアの環境が良すぎて長くなってきたので一度ここで記事切ります。もうちょっと生活面に寄った情報は次の記事に回します。と言っても現在在住している方の情報をまとめるだけなので、他のサイトと似たような情報になりそうですが。

YouTubeもブログも情報が少ない上にあまり信憑性のない情報も多そうなので、ビザ周りとか税金周りとか自動翻訳を駆使してマジで調べてしまいましたが、おかげで海外移住を目指すに当たっての予備知識もかなりつきました。ジョージアのフリーランスの税金周りの話は海外のフリーランスの移住情報のサイトなんかには書かれているんですが、日本では扱ってるサイトは殆ど無いですね。こういう情報はもっと表に出していった方が移住者が増えて情報も増えるんじゃないかと思う反面、あまり変な属性の移住者が増えるのもどうなのかなー、なんて思ってしまいました。あまりにも有利すぎますしね。

勢いだけで移住するのもいいですが、長期的な滞在や永住を目指すならそれなりに確信できる情報を持ちたいのは性格ですかね。納期が2月末の仕事を抱えてるんですが、新年から10日ぐらいジョージア調べて終わってしまいました。ちょっと仕事の方を進めてから残りの記事を書きたいと思います。